私が生まれ育った地域は日本の中で田舎の県で、その中でも田舎の地方で生まれ育った。家の窓から見える場所に山があり、近くには川も流れていた。自然を身近に感じながら幼少時代を過ごして大人に成長した。
小学生時代、家の前の道ではオジさんが水牛を引っ張りながら舗装されていない道を歩いていた。水牛がウンチを道に垂れ流し歩き去っていく。その巨大なウンチを棒でつついて友だちを追い掛け回していた。典型的な田舎の遊びだった。
周りの子どもたちがテレビゲームで遊びだしたのもその頃だった。ファミコンという言葉が飛び交い、学校での話題もファミコン一色だった。お小遣いさえ貰えない貧しい家庭だった私は気にもしない風を装いながら興味津々だった。
一度、友だちの家に遊びに行ってファミコンを始めてみた時、物凄くやってみたい!と感じた。一目散で帰宅してお母さんに懇願した。当然だが、あっさりと却下された。同じようにお父さんにもお願いしたがムダだった。
諦めきれない私は友だちに遊ばせて、とお願いするもケチな友人はお金を要求してきた。泣く泣くファミコンを諦めた瞬間は今でも覚えている。
ファミコンも買ってもらえない、友達はさせてくれない、加えてお金も無い。それでも周辺の環境が私の絶好の遊び場所・遊び相手だった。川に行けばエビ・カニがいたし、小さな川魚を試行錯誤を凝らした罠で捕まえた。捕まえた魚を餌にしてカニをおびき寄せた。
大きな蝿を餌にしてカエルを釣り上げる遊びは母親から教わった。田舎ならではの継承である。毛虫やミツバチを素手で捕まえて刺されて泣いたりして危険な昆虫や動物を身をもって体験して知識を蓄えた。
野良犬が群れをなす集団になると例え人間でも子どもくらい小さいと追いかけてくる危険な状況にも遭遇して生き延びた。真実かどうかは知らないが、とてつもなく貧しかった祖母の若い頃、猫も食べたのだそうだ。
そんな私は虫カゴいっぱいに昆虫を捕まえて集めるのが得意なワンパク坊主だった。古い言い回しだがしょうがない(笑)。カミキリムシ、カナブン、クワガタ、バッタ、なんでも虫カゴに入れた。カマキリを入れると凄惨な状況になるのもその頃知った。
で、ファミコンに夢中になっている友達には出来ない芸当であった。そして私はそんな友達でも昆虫が好きなことを知っていた。そして思いついた。うん?昆虫とファミコンを遊ぶ時間を交換できないかな?って。あ、そうだ、ウルトラマンに出てくる怪獣ゼットンの背中のデザインがゴマダラカミキリがモチーフになっていると知った時は複雑な気持ちでした(笑)。
『昆虫をあげるからファミコンさせてくれない?』友達に提案したら即オーケーだった。というか、猛烈に要求された。テレビゲームで鈍った身体のあいつらには野山を駆けまわる体力が無かったのだ。
とりあえず私は既に捕まえてたカナブン数匹を持って行くと10分程度しか遊ばせてもらえなかった・・・。ケチな奴だ、とは思わなかった。初めてファミコンをプレイした感動で嬉しかった。
いろんな種類の昆虫を提供してファミコンを楽しんだのだが、やっぱり、一番強かったのはクワガタだった。(※私の地元ではクワガタが少なかった。)で、以外にもカミキリムシは上位にランキングしたのだ。風貌が格好良く見えるのがよかったんだと思うし、クワガタと似た硬い甲羅なども子供心に魅力的に見えたと思う。
カナブン | 数が少ないと遊ばせてもらえず、虫カゴいっぱいでも30分程度しかプレイできなかった。いや、させてもらえなかった。つまり、遊ぶゲームが限られる。経験値を蓄積させる冒険モノは出来なかった。 |
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カミキリムシ | サイズが大きめの個体や、色が珍しい種類のカミキリムシは長い時間と交換できた。当時からゴマダラカミキリはファミコンを遊ぶ目的ではお金と同じ価値があった。30分は遊べたと記憶している。 |
バッタ | バッタは、トノサマバッタなど大きいものでないと見向きもされなかった。時間にして30分は遊べただろうか。 |
トカゲ | 今では信じられないが、当時の自宅周辺には、今では保護されているキノボリトカゲがわんさかいた。シッポまで含めると30センチほどのサイズも捕まえた。さすがにキノボリトカゲはファミコンとトレードしなかった。 |
クワガタ | (男子)小学生に圧倒的な人気を誇る種類の昆虫である。例えメスでも、サイズが小さくても数時間は遊べた。オスで大きく、見た目も格好良い種類の場合、ファミコン本体とソフトを借りることまで出来た。 |
SUPERSTARカブトムシ | 環境的要因なのかカブトムシがほとんど生息していなかった。と思う。どれだけ山・林・森の中を探してもクワガタばかりだった。なもので、カブトムシを手に入れたファミコンと交換できたかもしれない。 |
どうだろう、もうね、子ども時代に捕まえた昆虫ってさ、通貨と一緒です(笑)。交換レート・為替レートがね、歳を重ねるごとに変化するのも面白いよね。だんだんと興味が薄れていく。